平成19年度中小企業に関する税制改正
2006年12月21日
平成19年度の税制改正で中小企業に関する税制にも様々な改正が加えられます。
今回はその中から2つの税制改正をお伝えします。
- 中小企業の事業承継に関する改正
- 同族会社の社長の給与に対する増税の改正
1.中小企業の事業承継に関する改正
優良な中小企業の場合、株価(相続税評価額)は高くなります。
会社を売却しない限り、換金性の無い非上場会社の株式だったとしてもです。
このような会社の事業承継を円満に解決するための税制ができました。
その概要を簡単にお話すると下記の内容になります。
- 60歳以上の親から20歳以上の子(後継者)へ自社株式を贈与する場合
- 3,000万円までは贈与税は非課税
- 3,000万円を超える部分については、一律20%の贈与税
ただし、相続時精算課税制度の対象になります。
ここでいう相続時精算課税制度とは、下記の内容になります。
- 贈与時は3,000万円まで非課税
- 3,000万円を超える部分については、一律20%の贈与税
- 贈与した金額を相続財産に加算して、相続税を計算
- 相続の時点では、過去に支払った贈与税があれば、相続税を調整する
だから、株価が毎年上がる会社は安いうちに贈与すれば、早めに事業承継ができるのです。
また、相続財産に加算する金額は、まだ安い時に評価した金額(贈与した金額)なのです。
ただし、この制度を使うための要件もあります。それは
- その会社の株式の相続税評価額が20億円未満であること
- 4年経過後に、後継者が発行済み株式の50%超を所有し、
かつ、 - 議決権の50%超を所有していること
- 4年経過後に、後継者がその会社の代表になっていること
- その他、未発表の要件を満たしていること
一定の要件はありますが、
中小企業の事業承継を考えた場合、朗報です。
従来の制度よりも500万円だけの上乗せですが・・・。
ちなみに、平成19年1月1日からの贈与につき、適用になります。
2.同族会社の社長の給与に対する増税の改正
平成18年度の税制改正で、「同族会社の社長の給与に対する給与所得控除が損金にならない」という改正が盛り込まれました。
そして、先日、平成19年度の税制改正の概要が発表されました。
それに、同族会社の増税に関する更なる改正が記載されています。
対象になる会社は下記の条件を【共に】満たした会社です。
- その会社の社長とその親族が発行済み株式の90%以上を持っている会社
【かつ】 - その会社の社長とその親族が常勤役員の過半数を占めている会社
なお、これらの要件は期末時点での判定になります。
ただし、これらの要件を満たしても、
下記の【いずれか】に該当すれば、増税はされません。
分かりやすい様に、厳密な表現は避けてみます。
- 「法人の利益+社長の給与」が800万円以下
- 「法人の利益+社長の給与」が800万円超、3,000万円以下で、かつ、社長の給与が「法人の利益+社長の給与」の2分の1以下
だから、中小企業にとっては朗報です。
例えば、法人の利益300万円、社長の給与が1,000万円の会社は増税されないのです。
ただし、この改正は平成19年度の税制改正です。
だから、平成19年4月1日以降に開始する事業年度から適用されます。
例えば、平成18年4月1日~19年3月31日の事業年度は改正前の800万円が基準になります。ご注意下さい。