4. 医療保険はどれくらい必要?
2006年03月28日
医療保険も生命保険と同じ
次に、医療保険について考えてみましょう。
考え方は生命保険と同じで、「もしも病気になったらいくらほしいか」という観点から出発します。
病気で入院する場合、入院費や治療費といった医療費だけでなく、その間の生活費が必要です。
ここで大切なのは、医療費とその間の生活費は貯金でまかなえないか、ということを頭におきつつ、実際の医療費がどのくらいかかるかを見積もってみることです。
次の順番で考えるとわかりやすいでしょう。
入院するといくらかかる? ~入院費や治療費といった医療費は?
たとえば、前述のAさん(年収600万円のサラリーマン)が盲腸で1週間入院した場合、入院費や手術代を含めた治療費など医療費が30万円かかるとします。
このとき健康保険に入っていればサラリーマンの自己負担は3割ですから、約10万円を自分で支払うことになります。
10万円が基準となる
ただし、同じ病院に支払った医療費が1か月に一定額(この額は所得と年齢によっていくつかのパターンがあります)を超えると、「高額医療費」となり、超えた部分が払い戻されます。
この例で、10万円を同じ月に支払った場合は、約3万円が払い戻されます。つまりこの場合自分で支払うのは7万円となります。
高額医療費の払い戻しがあれば7万円
しかし、高額医療費の対象にならない費用の存在を忘れてはいけません。
主に「食事代」「差額ベッド代」です。
「食事代」は1日約800円、「差額ベッド代」の平均はだいたい1日4000~5000円といったところでしょうか。
差額ベッド代は、2人部屋や個室などに入った場合に必要な費用です。
基本的には大部屋にするのか個室にするのかは自分で選べますが、大部屋が満室といった病院の都合で2人部屋などになるケースもあります(基本的には患者の同意が必要)。
この食事代 800円×7日=5600円と
差額ベッド代 5000円×7日=3万5000円
を合わせた約4万円は自己負担になってしまうので、
さきほどの7万円 + 4万円=11万円の出費は覚悟しなければいけません。
差額ベッド代があれば大幅なプラスとなり、11万円
差額ベッド代については、長期入院のときに大きな負担となります。
「がん」など入院が長期にわたる病気、手術代が高い病気などの場合は、高額医療費となって返ってくる額も大きくなるので、基本的な医療費部分の負担額は若干上がるだけです。
しかし、全額自己負担となる差額ベッド代と食事代は長期入院になるほど膨れ上がってしまうので、2か月から3か月の入院で入院費が60~70万円になってしまうこともあるわけです。
この点は頭に入れておきましょう。
それから、家族がお見舞いに行くときの交通費も、入院が長期にわたると大きな負担となってきます。
そのほか、入院に必要なさまざまな雑費を考える必要があるでしょう。
雑費もプラスして最終的に12~13万円程度
夫が入院中の給料は? ~健康保険からの手当金も考慮する
最も不安なのはお給料が入ってこないこと、という人もいるのではないでしょうか。
入院のための出費がかさむ一方、収入は途絶えてしまうので、不安になるのも当然です。
しかし、健康保険から給与の6割程度が支払われる制度があるのはご存じでしょうか。
病気やケガで休んだ場合、健康保険から「傷病手当金」が支払われることになっています。
金額はおおよそ給与の6割程度で、1年6か月を限度として、出社できるまでもらえます。
もらえるのは、連続3日以上休んだ後4日目を経て5日目から、などと細かい規定はありますが、こういった制度があることも覚えておきましょう。
このように見てみると、収入は減ってもまったくなくなるわけではないので、なんとかなりそうに思えますが、入院が長期に渡るとやはり入院費の出費は大きな負担になります。
ですから、2か月から3か月入院したときの費用60~70万円プラス交通費などの雑費を目安として、また、病気になるのは1度だけとは限らないということも考慮に入れて、この分は貯金でまかなえるのか、保険に入ったほうがよいのかを考えてみましょう。
あくまでも基本は、いくら必要か、そのための保険料が払えるか、であることを忘れないようにしてください。